第16話

デザートの

杏仁豆腐が出てきた。


二人だけの時間が

もう終わってしまう…


もう少し一緒に居たい


…と思った。


そんな風に思っている僕の

心を知ってか知らずしてか


「社長って、甘いものもいけるんですね」


「え?」


「さっき、会社で珈琲淹れた時、ブラックだったじゃないですか」


よく見てるな。



その千里眼で

僕の心も見透かしてくれたらいいのに…


「杏仁豆腐、どうされるのかなって思ってたので」


「なるほど。珈琲は、味わって飲みたいから、ブラックなんです」


「通なんですね。お気に入りのカフェとかありそうですよね」


「そうですね、休みの日は、一人で本を読んだり、読まずにボーっとカフェで

過ごすことが多いかな」


休みの日も、一人で過ごしてるなんて

彼女いないアピールしてるみたいだ…

自分で言った言葉に苦笑い。




「オンとオフを上手く使い分けないと、お仕事大変ですよね、社長ともなれば」


しかし、彼女は、僕の言葉に気遣う言葉を返してくれた。


面接した時未婚というのは分かってるけれど…

彼氏がいるかどうかまでは、流石に聞けるはずもなく……

知っていたら

もうちょっと強引に行けたかな…

いやいや、年下の僕がそんなことをするなんて

恐れ多すぎる…

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