第15話

マズい。

思わず、さらっと本音を言ってしまった…


まさか僕の気持ち

まだバレていないよな。


でも、失敗したなぁ

見栄張って

ちょっと高めの

中華のお店を選んでしまったけれど

こんなお店じゃ

隣同士で座るなんてことは無理だし

向かい合わせにしては

距離がありすぎる…


やっぱり

普通に無難な

居酒屋とか

気軽な洋食屋さんとかにしておけば

良かった…


せめてもの救いは

吉田さんが

美味しそうに食べてくれてることだけで…


「でも、北海道の方がきっと、何を食べても

美味しいんでしょうね」


「北海道に来た事あるんですか?」


「修学旅行とかで行ったきりかなぁ」


「やっぱり、お仕事忙しいですよね、

社長ともなれば」


「あ、でも大丈夫、お盆休みとかの

夏季休暇は、ちゃんと設定してるから」


「社長も、お休み取られるんですか?」


「僕は、多分仕事漬けかなぁ」


「じゃあ、社長もお休み取れるよう

早く戦力になれるよう、私、頑張りますね」


吉田さんは、ガッツポーズした。

優しいなぁ。

僕の何気ない言葉に、こんな風に切り返してくれるなんて…


あまりに仕事に追われる毎日だったせいか

彼女の言葉が心に沁みる。

癒される…

やっぱり、僕は吉田さんが好きだ。

このままだとどんどん惹かれていってしまう。


一目惚れから始まる恋って

本当にあるんだな…

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