好きという言葉の重さ

第13話

先輩の隣で


また今日も夢のような時間を過ごしていた私


でも、そう簡単に毎回毎回、隣に座れることなんて無いんだろうな



だいたい、この講義だって、あと何回あるんだろう



席を立ち、教室を出ようとすると



同じく講義をとっていたと思われる男子に呼び止められました


「香山さん」


聞いたことの無い声


見たことのない顔


そんな人に声をかけられる時は


大体パターンが決まっています


「あのさ、香山さんって今、付き合ってる人いないんだよね?」


「あ、はい」



ええ、先日また、振られましたとも



「じゃあ、俺と付き合わない?」


予想通りの言葉


想像した通りの展開です


「前から、ずっといいなって思って」


聞きなれた言葉


「ありがとうございます」


そう思いつつも、ついつい笑顔を返してしまう私



「じゃあ、OKってこと?」


また、やってしまいました


ここで笑顔を見せちゃうから駄目なのに

笑顔を見せるから期待させてしまうのに


「あの、えっと・・・」


「突然、付き合ってとか言われても、困るよね」


良かった、これで引き下がってくれる



なんて浅はかな期待を抱いてしまうんですが


いつも、そんな簡単に終わるはずもなく


「付き合っていくうちに、俺のこと好きになっていってくれればいいから」



大概の男子は、こう言って私と付き合おうとします


付き合っていくうちに、好きなっていってくれればいいから


なんて言っておきながら、ちょっと付き合って、何回かデートをして

そして


「友達でいよう」


と最後に言われて、さよなら




なんですよね



「好きだったんだ、この講義で、見かけるたびにいいなって思ってて」



また、ここで私は、自分の両親の血を受け継いでしまったことを後悔しました


普通が良かったな



「今日、告白するのもすごい勇気が必要でさ」


彼は、はにかみながらそう私に伝えました



「心臓だって、すげードキドキしてるし」



あの手この手で、私を説得しようとする彼に


今まで、付き合ってきた人たちのように・・・と言ってもすぐ別れてますが



また、いつものように同情の念が沸いてきました



こんなに言ってくれてるんだし


勇気振り絞ってくれたんだし




また、いつものようにOKしようとしました

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