第15話

「水無月です…」


どうにも色々考えてしまった私は母の旧姓を名乗った。

本当は夏木かんななのだが、本当の名前を言うほど彼を信じられなかった。


「みなづきさん、と。インプットしました」


「そうですか…」


…。


これ以上何を話せば良いのだろうか。


ってか、この人はなんなのだろうか?


「僕のこと、疑ってますよね」


ドキー!!!


「あ、そうなんですね。顔がそう言ってますよ」


ニコニコと話を進める。


あーもう、私の表情筋は素直すぎる…。

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