第9話

でも、ほら。


電車で3人でいても。


なんとなく2体1になっている気がして、寂しい。


2人ともそんなつもりはないだろうけど、やっぱり苦しいと感じていた。


なんとなく2人の会話に相槌を打つ。


ー今度から電車早くしようかな…。


そんなことを考えていた。


ーバチッー


ふと、ドア近くで寄りかかっている男子と目があった。


茶髪に近い黒髪で端正な顔立ち。


けれど、その顔は驚きに満ち溢れていた。


ー同じ制服…あんな人いたっけ?


「莉音!翔太に勉強しろって一緒に言って!」


ほんの少し見つめ合った男の子のことは、桜の一言で忘れてしまった。

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