ハーレムと雫
相葉が雫の事で活きこんだ数日の事
今日の雫は一条の所にいる
何も雫は常に僕の元に来て泣き言を言ってる訳ではない
一条の所に居続ける事はある
なんだかんだで一条に振り向いて欲しい思いはあると思ってる
ただ、僕は塞ぎ込む雫が心配になってる
なので非常に嫌だが一条がいる所に向かった
今回は食堂に一条とハーレムが集うようで
人混みが多いのにも関わらずそれが分かるのは
皆の視線がハーレムに向かってるからだ
その中にお弁当を二つ持った雫の姿も確認できた
「えっと・・・一条君、これ・・・」
「お、今日はお弁当の気分なんだ」
ラッキーと言ってるが、ラッキーじゃねえよ。
作ってくれてありがとうとお礼を言う所だろ
一条の奴、雫が日常的にお弁当作って持ってくるのを
持ってくるのが当然と思い込んでないか?
んな訳ねえでしょ。
普段より朝早く起きて料理して、それをお弁当に詰めて持っていく
材料費や手間を肩代わりしてくれてるんだぞ
一回やってみたけど大変過ぎて毎回作ってくれる親に頭が上がらなくなった
閑話休題、例え雫が見返りを求めてなくても
お礼の言葉を口にしないと不満が積もるだけだ
それをしなくてもいいと辛うじて言えるのは親子の関係だけだ
親子でも無い雫と一条の関係だと、お礼が絶対いる
少なくとも僕はそう思う
自分がやられてる訳では無いが、一条の行動にもやもやしながら
ハーレムたちが会話に花を咲かせてるのを眺める
ただその中で、雫は一人会話に入らず黙々と食べてる
「ごちそーさまーっと」
「はい、お粗末様でした」
そう言って空になったお弁当箱を雫に返してる一条
雫は感想を待つように一条を見ているが
「・・・えっと」
「なに?」
「・・・何でもない」
「?変なの」
美味しかったありがとうくらい言えんのかコイツ!
最近塞ぎ込みつつあるのをどうにかならんかと思って様子を見に来たらコレか!
時々蔑ろにされ、作ってくれた感謝も、味の評価も無い!
そりゃ自信無くすって!
もう、雫を引き剥がそう、僕が雫を
そんな感情が芽生えた
そんな時
「よう保護者、心配で見に来たか」
「保護者言うなゲーマー」
心配で見に来た所を、保護者呼ばわりしてきたのは足立遊助、僕の友達だ
仕返しとばかりに名前じゃなくゲーマーと返したが、遊助はだからなんだの様子だ
女の子にどう思われようと気にしない、ぼさぼさな髪の毛が特徴だ
普段一人で活動する事が多く、数少ないハーレムに怨嗟を飛ばさなかった人だ
というかゲームしてた気がする。ゲームを学校に持ち込むな
公言してるが無類のゲーム好きで、特にギャルゲーが好きとか言ってたね
ただ興味があれば人と関わる人でもある
「いやまあ、気にもなるか。雨宮さんがあんなに暗い表情するようになってたら」
「遊助がそう思うってよっぽどだな」
普段人を見ない遊助が言うんだ。間違いなく雫はマズい状態に陥ってる
「遊助は一条のハーレムをどう思う?」
「俺には関係ないから、どうでもいいってのが本音。だけど」
「だけど?」
ギャルゲー特有のなんだけど
女の子に怒りゲージとかの不満を表す何かがあったりするんだわ
そういう要素で言うなら
周りはまだ大丈夫かもしれない
だけど雨宮さんは導火線に火をつけたところだな
きっかけ次第で爆発する手前までいってる気がする
「爆発・・・」
「そう爆発。普通ならそれを止めるべく動く。諦めて爆発させるのも手だけど」
今の一条が爆弾を止められるとは思わないしと、遊助が言った
もう、導火線に火をつけた所まで行ってるのか
「だとしたら止めないと・・・」
「なんでお前が止めるんだ。止めるのは一条だ」
「え、あ、そっか・・・」
「ん?」
「どうした?」
いーや?何にも?と、にやにやする遊助にはぐらかされた
だったらさっきの説明でもさせてもらおうか
「周りは大丈夫って言える理由はなんなんだ?」
「えー?怒らない?」
「内容による」
「ひっでぇなぁ、おい」
まあ言いや俺なりの解釈だけどよと言って説明した
雨宮さんって言わば尽くす人だろ?
だから尽くす相手が見てくれてるのなら決して離れない人だ
爆弾なんて出来やしない
だけど見てくれないのなら、やる意味が分からなくなってしまう
だから不満に思うのが早い
ゲームなら速攻で爆発させるから
一途に思わない限り、初接触イベントを後回しにされるタイプだ
反対に周りは一条に左右されない趣味を持ってる
例えばあの眼鏡をかけた子、本読んでるだろ?
一条が相手しないなら自分の趣味に移行する
ゲームならそういった趣味をバカにすると即座に起爆させるけど
バカにしないなら起爆までが遅い
早期に初接触イベントを起こしても問題ないタイプだ
説明を聞いた時、遊助への評価がちょっと上がったというか
ちゃんと人を見てるなと思った
ゲームに偏ってる事で人をフラットに見る事が出来る人なのかもしれない
ゲームで例えるのはどうかと思うが
「ただまあ、爆発が早いとは言ったが、にしては起爆しないなってのも本音」
「そうなの?」
「ゲーム基準って意味なら。雨宮さんって怒るに怒れない人か?」
「言う時は言うよ」
「ふーん・・・まあいいや、がやがやうるせーし戻ってゲームしようぜ」
「ゲームはしないけど、戻ろうか」
何学校でゲームを勧めてくるんだコイツと思いながら二人で教室に戻った
その途中、起爆しない原因、もしかしてお前かー?
と、爆発しない理由を僕にしてきた遊助の呟きを聞こえなかった振りをしながら
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