第13話
こんな右京だが烏天狗の中では特に優秀と烏や烏天狗の間では有名人なのだ。
俺にはぐうたら選手権でもあったら間違いなく一位をとれるだろうってといつも思って見ている。
なので、どの辺りが優秀なのか皆目見当がつかずに首を傾げるばかりだ。
気分屋で怖いもの知らずな右京は烏天狗の長である大天狗さえも手を焼いていると聞く。
正直、俺の師匠だがいつも何を考えているのか分からない厄介者としか思えないのだが、勘だけは鋭くて油断だけはならないと常々、肝に命じている。
「さては、人間に好い人でも見つけたのかい?」
「がっ!? そんなんじゃない!」
こんな風にいつも俺が天狗の山から散歩に出て見聞きしたことをピタリと言い当てたりするのだ。
――でも今回のは半分ハズレだ。
一応、烏天狗になろうって烏が人間に借りを作ったままなんて格好がつかないと思ってお礼がてら俺の宝物を分けてやっただけだ。
別に特別に好い人ではなく、一度去ってから戻るくらいには面白そうだと思える人間の女だった。
それにベラベラとよく話す変な女が名前も言い返せないのかと言うから練習しているわけでもない。
一通り右京の言葉に心のなかで反論を終えてから小陽の姿を思い出す。
――でも、あの笑顔はまあまあだったな。
俺が贈った光る石を見て喜んだり俺の姿に感動したりして見せた笑顔は嫌じゃなかった。
小陽の笑顔を思い出して頷いていると右京が俺の嘴を指でつつく。
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