第12話

19:00。


優衣の携帯が鳴る。


見た事のない番号からだ。


「バイトの合否…かな?」

優衣は咳払いをして声を整える。


「はい。桜です」

電話に出た。


「小原です。本日は面接、お疲れ様でした。

今、大丈夫でしょうか?」


優衣は「はい!」と大きく返事をし、その場でうろうろしながら小原の声に耳を傾ける。


「はい…。ありがとうございました」


優衣は電話を切った後、しばらくの間、方針状態になった。


結果は―――合格だった。


「いつからがいいですか?」


「いつからでも大丈夫です」


「心の準備も必要でしょうから…準備が出来たら連絡ください」


そう言われたのを覚えている。


優衣は方針状態のまま布団に入り、その日は目を閉じた。


夕飯を食べるのも、お風呂に入るのも、勉強するのも、萌に連絡するのも、全て忘れて…

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