第102話 35日目 12月25日(水)2

「おめでとう!」とみんなの声が重なった。

「「ありがとう」」


俺と緋音も声を揃えてそれに応える。

正直こうして祝われるのは嬉しい。

前回、真恵との時は正直良い雰囲気ではなかった。

元義実家側とは、価値観が違いすぎる部分があったから。

富裕層が見下す感覚と言うのだろうか、そんなイメージがあった。

浜松くんだりまで来てやった感が凄かった。

思い返しても胸糞悪くなる。

まあ、寧ろそれでよく結婚が出来たと思うほどだ。

思い返しても意味が分からない。

まあ、そんなことは忘却の彼方へと追い出そう。

そうこうしていると、料理がテーブルへと流れてきた。

ipadで注文をするとテーブルにあるレーンへと流れて来る。

鮨15貫と蟹汁のセット鮨や鮨4貫・巻物1本・刺身・小鉢の2品・一品料理が2品のセットなどを頼んでおいた。

机中央には、桶に盛られた駿河刺し盛と言う光物・白身・地魚が置かれている。

琉星の前には、鶏のから揚げ、鮪のから揚げ、ポテトフライなどが置かれていた。

あ、ちなみに姪っ子ちゃんは9か月になったばかりで 芽愛めいちゃんと言うらしい。

先月訪れた時には、お昼寝中だったらしい。

ちなみに、席は男女で別れている。

俺の方だと俺、清明、琉星、親父、義父で通路側に俺と清明。

清明の隣に親父。

俺の隣に義父と言う席次である。

緋音の方はと言うと。

緋音と涼香さんが通路側で、緋音の隣が義母。

涼子さんの隣にお袋。

2人の間に取り付け式のチャイルドシートが取り付けられ、芽愛が座っている。

彼女の前には、離乳食が置かれていた。

最近やっと離乳食を始めた所らしい。


(慎サイド)


「あー、めでたい」

「まったくです。孫の顔がみれるなんて」


親父と義父が、ビール瓶をお互いに注ぎ合いながら吞んでいる。

清明は、親父たちに呆れ顔をしながら琉星の様子を視界に入れていた。


「清明、色々ありがとうな」

「僕は、なにもしてないよ」

「いや、長い事実家の事」

「ううん、僕が好きでしてることなんだ」


こうして、お互いに話し合うのはいつぶりだろうか。

相当に、昔の事だった気がする。

昔から、仲は悪くない。

寧ろ、高校生の頃はバイクの後ろに乗せて遊びに行ったこともある。

まあ、その役が急遽緋音に変わった事が多々あったが。

そう考えると、あの頃から清明は俺と緋音の中を深めようとしてくれていたのかもしれない。


「清明が、弟でよかったよ」

「兄さん。なんだよ、それ」


清明は、俺の言ったことに笑みを浮かべていた。

そして、同時に照れているようで顔が赤い。


「あ、そう言えばこの間のニュースみたよ」

「ニュース。ああ、あれか」

「茉子ちゃんのこと」

「ああ…あの後しっかり調べたんだ…やっぱり、血が繋がってなかった」

「そうなんだね」


清明は、悲しそうな表情を浮かべていた。

そんな、表情を隣でじっと琉星が見つめていた。


「パパ、大丈夫?小父さんにいじめられたの?」

「いや、違うよ。兄さん…小父さんは優しい人だからね」

「そうなの?小父さん」


無垢な瞳に射抜かれる。

まあ、清明を虐めているわけでも虐めたいわけでもない。


「うん、そうだよ。

なんか飲み物頼むか?」

「オレンジジュース」

「おう、じゃあオレンジジュース頼むか」


俺は、ipadで追加注文をする。

よく見ると、日本酒も追加されている。

この二人、まだ吞む気か。

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