第37話
さて、所変わって東京。
その頃の真恵はと言うと茉子と2人の生活を送っていた。
不倫相手…基、本命の男性はと言うと彼もまた妻帯者である。
W不倫。
実は、彼自身はバレていない。
実に不条理である。
但し、真恵自身はかなりいい暮らしをしている。
彼女の両親が貿易系の会社を営んでいることに由来する。
ただ、『出戻り』という世間体だけは看過できず両親所有の物件で茉子と2人暮らしと言うわけだ。
真恵自身は、家事などできない為家政婦を雇っている。
また、茉子自体は小学校に入学しており、寮生活を送っているので実質真恵が1人で済んでいるともいえる。
真恵自身は、育児にやる気もなく、偶に来る本命の彼と情事を行うのが唯一の楽しみである。
彼女の両親は、本当の離婚原因を知らない。
慎が不貞行為をしたと思い込んでいる。
なぜなら、真恵がそう報告したから。
彼らは、彼女の言いなりである。
元々、出来婚という事もあり親戚付き合いなどほとんどしていない。
慎と会ったのは、両家の顔合わせ、入籍、結婚式の3度だけ。
彼と彼らには、『信頼』と言う絆は存在しない。
「はぁ、退屈。みっくん来ないかしら」
真恵は、呟いていた。
『みっくん』。
それが、『彼』のことである。
ちなみにだが、ここで働いている家政婦達は『彼』を茉子の父親と認識している。
『父親』イコール『慎』ではなく、『父親』イコール『みっくん』と言う構図である。
まあ、血の繋がり的にもそれは適切なのだが。
ただ、一部違うとすれば『みっくん』と血は繋がっているが一部と付け加えなければならない。
実際は、『みっくん』の父親の子供が茉子なのである。
彼自身は知らないことなのだが、『みっくん』は無精子症候群である。
『みっくん』の父親と関係を持ち、生まれたのが茉子である。
彼の妻である女性は、長い事不妊治療を行っているが子宝に恵まれていない。
その時に検査をして、『みっくん』が無精子症候群だと発覚しているが彼には知らされていない。
かなり、複雑な家庭である。
真恵は、リビングのソファで寝っ転がりながらテレビを眺めるのだった。
「暇ね…いいこと思いついたわ」
彼女は、不敵な笑みを浮かべながらスマホを操作するのだった。
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