15 ウェルロード帝国皇帝陛下
「と、取引をしよう!今回のクーデターの計画は実行しない。いや、今後もしないと約束する!その代わり私の命は、」
「それって、わたしにとって何の利益もないよね。取引の仕方くらい覚えた方が良いと思いますよ。それにクーデターのことだって自分で言っているじゃないですか」
「くそ…!」
「それでは伯爵。はじめまして、そして永遠にさようなら。……もしあなたが生まれ変わることが出来たなら───……」
「っ、……」
これで暗殺は終わり。あとは事後処理と報告だね。実はこっちの方が大変だったりする。伯爵の死やその原因などの噂はわたしが管理しないといけないからね。噂の管理は案外楽なものだけれど。
◇
「皇帝陛下、リーシャです。報告に参上いたしました」
「おお、リーシャか。そんなに堅苦しくしなくともいつも通りにすれば良い」
「一応ですよ。だって不敬だ!なんて言われたら笑えないから」
「それこそ失礼だろう。私はそのようなことは言わぬ」
「でしょうね。ただの冗談ですよ」
皇帝陛下は器の大きい人。皇族の皆様はわたしたちロードのことを本当の家族のように接してくださる。たしかにどこかしらで血が繋がってはいるのだけど、それは抜きにしても気さくな方なのですよ。
「して、報告と言うのは昨日命じた件か?」
「ええ。任務完了いたしました。今のところ計画の段階、と言うのにも間違いはなく、まだ仲間はいませんでした。公になる前に揉み消せるかと」
「そうか。相変わらず仕事が早いことだ。今後も期待しているがあまり無理はせぬようにな」
「それは陛下次第……ではなく、余計なことばかり考える頭の弱い人たち次第です。どうしたらあんなに馬鹿げたことばかり考えつくのか、次に同じようなことがあったら聞いてみても良いかな……」
学ぶことは好きだよ。自分が知らなかったことを知れるのは楽しい。だから今度本当に聞いちゃいましょうかね?
教えてくれるんじゃない?良い感じに
「リーシャ、好奇心旺盛なのは結構だが普通はそのようなことを聞いたりせぬぞ…?」
「あら陛下。冗談ですよ、おほほほ」
「……アルヴィンに一言言っておいた方が良いだろうか」
「それでは陛下、また明日お会いしましょう!」
「…………」
危ないあぶない。あのえら公爵に何か言われるだなんて絶対に嫌ですよっ!何があっても絶対に、ぜーったいに揶揄ってきますから!わたしのこと玩具か何かだと思ってるんじゃないですかね。まだ会ってそんなに経ってないけどすでにそう思う。
この段階でこの評価は相当ヤバいんじゃないですか、公爵様?
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