公爵様、三年限定ではなかったのですか！？～契約結婚したらなぜか溺愛されていました～

10 フェルリア公爵家の規模と所見では判断できない価値

　結局、少し落ち着いて話せているかと思えばすぐに言い争いと言う名のじゃれ合い（？）が始まり、公爵家に着くまでの数時間はずっとそんな風にして過ごした。おかげでわたしは疲れてぐったり、反対に公爵様は無駄にキラキラしているのでイラっとした。

　御者の方、すみません。そちらは仕事中なのに馬車の中がうるさかったと思います。すべてはこのえら公爵が悪いのでクレームでしたらそちらに。

　あ、そうそう。リジーは別の馬車でわたしより先に屋敷を出ていたからもうここに着いてると思う。

「お帰りなさいませ旦那様、リーシャ様」

「ああ。彼女は長旅で疲れているから使用人たちの紹介はまた明日以降それぞれやってくれ。とりあえず私は彼女を部屋まで案内する」

「その前に……はじめまして。リーシャ·フランクスです。これからどうぞよろしくお願いしますね」

　三年間だけなので末永くとは言わないけど。フランクス公爵家は皇都の一等地、それも皇都に建てる規模ではない屋敷を超えたもはやお城の域に達するほどの豪邸だった。門からエントランスまでも馬車で移動するくらいの距離があるし、そこまでの庭園も大変素晴らしかった。わたしは花が好きだから今度時間がある時にでも見て回ろうと思う。

　そしてお城ではないので一応屋敷と言うけど、屋敷の中に入るとたっかい天井に大きなシャンデリア、その下には大勢の使用人たちが並んで待っていた。多分この屋敷にいる使用人全員だと思う。同じロードで建前とはいえ公爵家と伯爵家では規模が違うね。我が家は借金抱えるくらいだったけど。

「では行くぞ」

「はい」

　わたしが挨拶するとさっきまでより深く頭を下げられた。その中にリジーはいなかったから今は荷解きでもしてるのかな。

「素敵なお屋敷ですね。フランクスとは規模が違います」

「そうか？たしかに一見こちらの方が潤沢な資金を持っていそうだが、フランクス領の屋敷は歴史がある。古いとかそういう意味ではなく、値段で表せないような価値あるもので溢れていた。屋敷内の装飾もだが屋敷自体や庭園もだ」

「すごいですね……初見でそこまで見抜いた人はわたしが知る中では初めてですよ」

　公爵様の言う通り。ロードは歴史ある名家だ。彼の言う通り価値あるものが多い。それはもしかすると他のロードと比べても一番なのではないかと言う程。だからわたしは屋敷や屋敷内にある物を売り払わなくて良いように頑張ってきた。

　見る人が見ればこのお城のように大きな豪邸と同等以上の価値があると分かる。まあそれは今朝までわたしたちがいた領地にあるフランクス家の話で、王都の方のは普通の屋敷だけどね。