第3話
「・・・隼人遅くない?」
奏が戻ってから5分は経つ。
「大丈夫だ。ちゃんと部屋の中で死んでるから。」
奏がどや顔で言い放つ。
「・・・死んでる自体、場所がどこだろうがダメでしょ?」
私はため息をついてテーブルにマグと出来上がった朝食を置くと、玄関扉前で倒れているであろう隼人の元へ歩いた。
「おい!ほっとけ!」
奏が忌々しげに言うのに一瞥くれると、そのまま歩いていく。
「ちっ。」
奏が舌打ちをしてついてくる気配を背中に感じながら、玄関へと続くリビングの扉を開く。
すると、グンと引かれる扉。
「わっ!」
引っ張られて入ってきた人物に激突する予感に、目を閉じた。
「・・・・??」
衝撃が来ないのを不思議に思い、うっすら目を開けると、お腹に感じる違和感と、胸ぐらを掴まれ少し後ろへ押されている隼人が。
ふと上を見ると、般若顔の奏が私を抱き寄せ、隼人を押し込んでいた。
「・・・隼人。お前、本当に死ぬか?」
「め、滅相もない。」
奏の低い声に、隼人が掴まれている胸元を何とか外そうとしながら首を一所懸命に振る。
それでも中々外れない奏の手を見て、私は奏の腕を軽く叩いた。
「ん?」
奏の柔らかい声に笑顔を返した。
「朝ご飯食べよう?お腹空いちゃった!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます