第6話

あ、親に言って高校も自主退学にしといたから。と、なんのことでもないように言う兄が信じられなかった。




私はまりかと見ためも性格も正反対で、私はまりかのような栗色の髪じゃなく漆黒。目もくりくりじゃなく少しつり目だ。性格も到って大人しく、外で遊ぶより本を読んで過ごした。




そんな私を両親は可愛がってくれなかった。いや、視界に写したこともないかもしれない。




部屋もまりかには一人部屋。私には無かった。服はまりかのお下がりを母のタンスの一角を借りて着ていた。



家は父が会社経営のため裕福な家庭だけど、私にはお小遣いもない。だから生まれてこのかた給食以外で昼ご飯を食べたことがない。


  

そんな私の少ない持ち物でもまりかは盗っていく。



そんななかでも兄は私とまりかを差別せず、同じ様に接してくれた。



蓮に出会ったきっかけもまりかが友達と遊ぶと言ってセフレの家を渡り歩いてる時に、ひとりぼっちで勉強ばかりの私に気分転換で倉庫に連れて行ってくれたからだ。



そしてなんでもまりかに取り上げられる私が唯一盗られないのが勉強だった。



だから私は勉強は頑張った。今は学年1位まで取るようになってやりがいを見つけていた。



私が唯一盗られないものだけでなく、蓮に兄さえも失った。



兄は私を侮蔑の目で見てくる。



その瞬間、私の心の支えがガラガラと音を立てて崩れる音を聞いた。






そんな私は、







笑うしかなかった。

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