第5話

背後から話しかけられて振り返ると、



「おー、やっぱり美人だ。一年生?」



上級生らしい男子が笑って私を見ていた。



「……迷子にはなってないけど、一年です」



人懐っこい笑顔。

長身のスラリとしたスタイル。

少し緩めたネクタイと、ズボンからはみ出しそうなシャツの裾、そして、



「ふーん、一人で外観て、タソがれてたの?」



階段中に響き渡りそうな、低音で印象的な声。



「別にタソがれてませんけど」



とてもモテそうな人だと思った。




「あ、そ」



「はい」



だけど、軽そうで私の好きなタイプじゃない。


それ以上会話を続かせることもなく、教室へと急ごうとしたら、



「あ……っ!!」




新しい上履きに慣れてないせいなのか、階段から足を踏み外してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ー恋 葬 ー太陽が見えない こうつきみあ(光月海愛) @kakuyume251

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ