神様の便利屋始めました
描空
初めての依頼
この世界には7つの国がある。そして、7柱の神が各々の国を治めていた。
そんな神に頼りにされる男がいた。
俺は
俺は昔から多種多様なゲームをしてきたが、1番好きなジャンルはハクスラ要素のあるRPGだ。
ゲームで周回している時は、会社のストレスを忘れられるそして、ゲーム内で欲しいアイテムも手に入る、一石二鳥だ。
「ピロン」
ケータイが鳴った。
「縺ゅ↑縺溘?霆「逕溘☆繧倶コ九′險ア縺輔l縺セ縺励◆縲」
文字化けしたメールが届いた。
「はあ?」
俺は一言だけ呟きゲームを再開した。
「ピロン」
またケータイが鳴った。
「譌ゥ縺上@縺ェ縺?→蠕梧t縺吶k莠九↓縺ェ繧九h」
俺は怖くなりケータイの電源を落とした。
俺はメールの事なんか忘れてゲームに没頭した。
瞼が重くなり床につく。
ふと誰かのこれが聞こえてきた。
「繝。繝シ繝ォ隱ュ繧√h?√↑繧薙〒菫コ縺後%縺薙∪縺ァ蜃コ蜷代°縺ェ縺上■繧?>縺代↑縺?s縺?」
どこの言語の言葉なのかさっぱり理解できなかった。だが、口調からして怒っていたのはわかった。
「へ?」
俺は何を言ってるのか理解できず変な声しか出ない。
「險?隱槭′驕輔≧縺ョ縺九■繧?▲縺ィ蠕?▲縺ヲ縺ュ」
またわからない言語で語りかけてきた。
「蜷帙◆縺。縺ョ險?隱槭?譌・譛ャ隱槭°縲ゅ%繧後〒繧医@」
「ごめんごめん、言語が違うんだったね。これでオッケーかな?」
俺は急に日本語が聞こえてきて困惑した。
「は、はい。大丈夫です。」
「この調子じゃメール読めなかったのかな?」
昼間に訳のわからないメールが来ていたのを思い出した。
「そうです。読めなかったのでどうしたらいいかわからず、申し訳ございません。」
俺は、明らかに人間ではないその存在を怒らせないように細心の注意をはらった。
「別にそんなに謝らなくていいよ、こっちが悪いんだから。」
案外優しいのか?と思った。
「それでメールの内容なんだけど君、転生する気ない?」
「はい?」
訳のなからないことが立て続けに起こり頭がパンクしそうだ。
「言葉の通りだけど、どう?」
俺はしばらく考えて答えた。
「別に現状に不満はないので結構です。」
俺は今の暮らしが嫌いではない、でも手放したくはない。
「そうか、残念だ。」
すんなり手を引いてくれるのかと安堵した。
「じゃあ君が死んだら転生してくれる?」
コイツは俺たちとは違う倫理観で生きているのだと確信した。
「死んだらいいですけど、意図的に事故に遭わせるとかはやめてくださいよ。」
コイツならやりかねないと思い念を押しておいた。
「ちなみになんで俺を転生させたいんですか?」
「僕が神をしてる世界の人間たちが、手に負えなくて君にやって欲しいんだ。」
「神様が出来ないのに俺に出来るんですか?」
俺は思っていた事をそのまま伝えた。
「僕は人間の心が分からないから、どうしたらいいかも分からないんだ。でも、君は人間だろだから僕よりかは、うまくやるんじゃないかなって思ったから。」
「分かりましたけど、俺が天寿を全うしたらですからね。」
「何回も言わなくても分かってるよ。」
そう言い残して神様の声は聞こえなくなった。
カーテンの隙間から朝日が差し込んできた。
数十分しか話していない感覚だったのに、もう日が昇っている。神様は俺たちとは違う存在なんだと再認識した。
今までと何も変わらない日常に戻った。
そう思っていたのだがまた神様が話しかけてきた。
「もう待てないからさ、夢の中ででいいからこっちの世界来てくれない?」
急にフランクになったなと少し驚いたが、比にならないぐらいの内容で俺は目を見開いた。
「待てない?夢の中?どういう事だよ、前と言ってることが違うじゃないか。」
俺は威圧するように言った。
「それに関しては申し訳ない。でも、僕の国で内乱が起こっちゃって、今すぐにでも君の手を借りたいんだ。」
「俺に何のメリットがあるんですか?」
俺はいつでも断れるようにどんな返事でも違和感のない質問をした。
「特にないよ。でも強いて言うなら今の生活よりは楽しいよ。」
俺は少しだけその言葉に惹かれた。
「例えばどんな感じなんだ?」
「そうだね、異世界って言ったら分かりやすいかな。」
俺は少し心躍っていた。
「夢の中って言ってたけど具体的にはどんな感じなんだ?」
「死んでも夢オチ?に出来るよ。」
「それって何回も死ぬ痛みを味わうって事か?」
俺は流石にそんな事は出来ないので聞いておいた。
「無くすことも出来るよ。なんならゲーム?みたいにも出来るよ。」
ゲームという言葉に一気に興味を惹かれた。
「それは俺たちの世界のゲームという解釈でいいのか?」
「そうだよ。君がやってるゲームみたいな感じにでもできるよ。」
俺は頭の中で様々な可能性を考えた。自分がゲームの中に入れる、言葉通り目の前でゲームをプレイ出来る。ゲーム好きからしたら断る方が難しい提案だ。
「もう一度確認させてくれ。俺は死なないんだよな?そして俺がやっているゲームみたいにしてくれるのか?」
「そうだよ。でも一度こっちの世界に来たら、しばらく帰れなくなるよ。」
「しばらくってどういう事だ?というか帰って来れるのか?」
俺は疑問をぶつけた。
「夢の中だからなんでもアリなんだよ。君がそちらの世界で一夜眠っている間に、こっちの世界の出来事が終わるように調整するから、帰ってきたら翌朝って寸法だよ。」
俺は信じられなかったが、神様なら出来ると思い込んだ。
「あんたの頼み事は受けるが、これから先長い付き合いになるだろうから、呼び名とか名前とか俺が行く国の事も教えて欲しい。」
「僕の名前はバエル。名乗るのが遅くなってごめんね。そして、僕の国の名前はグリード王国ってところだよ。グリード・アルテンっていう王様が統治している国だよ。」
バエルは基礎知識は教えてくれたが、詳しくは教えてくれなかった。
「言葉は通じるよな?」
「大丈夫だよ。」
俺はその一言が聞けて安心した。
「もう聞きたい事はないかな?」
俺はこの会話が最後になるかも知らないから、出来るだけ有益な事を聞こうとしたが、生憎そんな頭脳は持ち合わせていなかった。
「どうしてもって時はあんたを頼っていいか?」
初めての世界で心細い、誰でも持ち合わせている感性だろうと思い俺は聞いた。
「いいよ。でも、空回りする事があるかも知れないから文句は言わないでね。」
「わかったよ。」
俺はそう言い、バエルに異世界に転移させてもらった。
目の前の景色は現代では到底味わえない、自然の美しさに殴られてるようだ。
俺は20歳程の青少年の姿をしていた。アニメの主人公のような見た目で、俺は嬉しくなった。
とりあえず現在地を把握するためにマップを開いた。
俺は始まりの町の近くの草原にいた。本当にゲームっぽくしてくれているのだと、俺は感激した。
とりあえず始まりの町に行こうかとも思ったのだが、魔法やスキルなどがあるのか気になりステータス画面を開いた。
ステータス画面には魔法、戦闘スキル、生活スキルの三つがあり、最後の生活スキルに興味を持った。
上二つはわかるが、生活スキルはゲームでも見た事が無く、ドライヤーみたいに温風を出せたりするのかと思った。
俺の予想は正しく日常生活をよりよくしてくれる魔法のようなものだと書かれていた。
だが、魔法も戦闘スキルも生活スキルもポイントが必要らしく、まだ使えない。
とりあえずやる事も無いので始まりの町に向かった。
始まりの町に着いたら、クエストが出てきた。
『レベルを10まであげろ』
序盤も序盤だから武器を入手しろとかじゃないのかと、疑問に思ったが今すぐに出来るものでは無かったから、そのまま放置する事にした。
とりあえず何も持ってないので、町の人に此処には何があるのか聞いた。
町の人曰く、ここには冒険者ギルド、酒場、鍛冶屋、宿、換金所があるらしい。
始まりの町だから、この世界の基本的な店があるのだろうと、勝手に解釈した。
俺は冒険者ギルドに行き、冒険者になる事にした。
「すいません。ここで冒険者になれると聞いたのですが。」
俺は受付のお姉さんに聞いた。
「新規登録ですね。少々お待ちください。」
そのお姉さんは黒髪ロングという誰でも好きな髪型で、尚且つ眼鏡美人。
気を抜いたら顔が緩んでしまいそうな程だった。
「お待たせしました。こちらの用紙に名前と年齢を書いてください。」
「わかりました。」
俺は何気ない顔で返事をしたが、名前と年齢だけでいいのかと驚いた。
俺はそのまま加藤真矢と書こうとしたが、この世界の普通の名前を知らない事に気がついた。
悩んだ結果辿り着いたのは、お姉さんの名札だ。
目を凝らしよく見ると、ルナ・フィーリーと書いてあった。
俺は取り返しのつかない過ちを犯すところだった。
俺はシーヤと名乗る事にした。
「書けました。」
「それでは冒険者バッチを持ってきますので少々お待ちください。」
一分もしないうちに長さが5センチ程の、銅色のプレートが運ばれてきた。
「こちらが冒険者バッチになります。換金所でこのバッチを見せると額が10%増になりますので、忘れずに見せてください。他に何か質問はありますか?」
「ここの宿は一泊どのぐらいの値段ですか?」
俺はぼったくられないように聞いておいた。
「少し曖昧ですが、150ゴールぐらいだったと記憶しています。」
「ちなみに冒険者って稼げますか?今手持ちがなくて。」
俺は苦笑しながら聞いた。
「右手のクエストボードにある依頼が、冒険者の主な収入源ですね。難しいのであれば報酬は高くなりますが、簡単な物であればその分報酬は低くなりますね。」
「そうですか。ありがとうございます。」
俺は爽やかにお礼をし、クエストボードに足を運んだ。
ドラゴン討伐から薬草採取まであり本当にピンキリなんだなと思った。
その中で一つ目についたものがあった。
『ゴブリン討伐』
いかにもなクエストを受付に持っていき、クエストを受注した。
俺はゴブリンが出る森に向かう最中、クエスト用紙に書いてあるゴブリンの数や群れのボスなどに目を通していた。
俺は軽い足取りで森に向かっていたら、ふと気がついた。
武器ないのにどうやって倒せばいいのかと。
俺はどうしようもできない事なので神様に頼んでみる事にした。
「神様ー。俺一文なしだし、武器もないからこの世界で生きていくことすら出来ないけど、どうしたらいいのー?」
俺は神様に対して友達と話してるぐらいのテンションで言った。
「ああー。何か忘れてると思ったらこれか。すまんすまん。」
「別に謝らなくてもいいよ。とりあえず3日ぐらい生きれる金と、武器と防具くれない?」
「分かった。それじゃあ人目につかない場所に行ったら、また言ってくれ。」
俺がラフに話すからか神様も同じ感じで話してくれて楽だ。
「着いたよ。」
「よし。それじゃあまずは金だ。」
1,000ゴールドを入手と表示され、俺のステータス画面に所持金の枠が追加された。
「さすが神様だな。」
「当たり前だ。」
褒めれば神様も少しは良い気分になるんじゃないかと思って言ってみたが、そんな事は無いらしい。
「次はTポーズというのか分からないが、両手を左右に伸ばせ。」
俺は言われた通りTポーズをして待っていた。
俺はまばゆい光に包まれ気がついたら、質素ながらも剣と小楯そして胸プレートを装備していた。
「ありがとう。神様。」
俺はそれだけ言いゴブリン討伐に向かおうと振り返ったら、そこには20歳ぐらいの女の子が呆然と立っていた。
俺と彼女との間には時間が流れていないようだった。
口火を切ったのは彼女の方だった。
「何今の?」
「え、えーと…」
俺は誤魔化せないか頭をフル回転させ一言だけ発した。
「俺独自の魔法なんだー…」
俺は嘘を言ってバレないか内心ヒヤヒヤしたが、人間の目はこれ程輝くのかと思う程彼女の目はキラキラしていた。
「どんな魔法なんですか?!」
「いやー…教えられないなー…」
俺の目は完全に泳いでいたと思うが、彼女はそんなの気にしていない様子だった。
「そうですよね。努力の結晶を他人にやすやすと教えないですよね。」
とても落ち込んだ様子だった。
「ごめんね。俺ゴブリン討伐行かなくちゃだから。」
俺は早く立ち去ろうとしたが彼女から意外な言葉が出てきた。
「あ、あの!私に魔法を教えてください!」
彼女は俺の服の裾を掴みながら言ってきた。
「別に俺魔法詳しくないよ」
俺は事実を伝え引き下がってもらうようにした。
「でもさっき独自の魔法って言ってましたよね?それって特異魔法ですよね?」
特異魔法?俺は一瞬疑問に思ったがそんな事より、今はどう言い訳しようか悩んでいた。
「さっきの魔法は生まれた時から持っていたけど、他の魔法に関してはてんでダメなんだ。」
「特異魔法じゃなくて天賦魔法なんですか?!」
「あー…えー…えーと…」
初めて聞く単語とこの状況をどう切り抜けようか悩んでいたら、俺の脳みそはショートして気を失ってしまった。
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