まさかの展開 「隣の部屋のイケメン君!?」

第22話

息を切らしてスタバの店内に駆け込むと、由香里が『こっちこっち!』と手を挙げて呼んでいるのが見えた。




『10分前に来るなんて珍しいじゃん。いつもギリギリなのに。てか、何でそんなに息切らしてんの?』




感心した様に言ったかと思えば、ゼーゼー言ってるあたしを、首を傾げながら見上げる由香里。




『ちょっと変な人から逃げてきた』




と答えながら椅子に座るあたしを、由香里はケタケタ笑ってて。




(笑い事じゃないんだよ)





心の中で呟きながら、恨めしげに由香里を見遣る。










中学からの親友である由香里は、女のあたしでも羨む程に美人でスタイルも良くて、街を歩けば読者モデルのスカウトなんか日常茶飯事な女の子。




その上、性格も明るく活発で、曲がった事が大嫌いで、友達が間違った事をすれば容赦なく説教しちゃうような子で。




でも誰からも好かれて、周りには常に人が集まる様な子。




そんな由香里が、何故かあたしみたいな子を親友だと言ってくれる事が奇跡の様に思えて。




由香里は、俊ちゃんやパパと同じくらい、あたしにとって掛け替えのない存在。




そんな由香里は、去年、乳癌に侵されて左胸を全摘出した。




女の子にとって、胸ってやっぱり大事で、それを失うと知った時の由香里は普段からは想像も出来ない程に沈んで自暴自棄になって。




親友なのに、かけてあげる言葉も、してあげられる事も思い浮かばない自分に腹が立った。

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