第5話 支援魔法と魔力切れ
翌日、宿の外には宣言通りアルラーが立っていた
「朝食はとり終わったのよね?」
「うん...」
「早速行くわよ!今回はハイゴブリンをやるわ!」
「ハイゴブリンって危険度まあまあ高かったんじゃ…」
「そんなことでは止まらないわよ、私Bクラスだし」
(そういえばランクについて教えてもらったなあ…モンスターは危険度で、冒険者はクラス制って言ってたっけ。…あれ僕クラス低くない!?大丈夫なの!?」
「うるさいわね!いきなり叫ばないでちょうだい!」
「はっ……心の声が漏れた……」
ハイゴブリン討伐のためスライムを狩った森へと入る
「アルラー?」
「なによ」
「ほんとにこの奥にいるの?」
「ええ、ハイゴブリンはゴブリンの中から突然変異で発生する希少モンスター。牙から流れ出る毒は中級ヒールポーションの原料でもあるわ。今回は事前に発見してたからすぐに動けてラッキーよ」
「牙以外は?」
「ゴミよ」
(すっげー辛辣に言い切った…)
森を歩いているうちに少し開けた場所と洞窟があった
「牙が欠けないなら頭ごと吹き飛ばしてもいいのだけれど、討伐の証が無くなるのは困るのよね…」
「支援魔法士ってなにすればいい?」
「私が攻撃するから、ダメージバフと詠唱バフ、速度バフもつけて頂戴」
「一気に三つは無理なんじゃ…」
「忘れたの?支援魔法士の魔力消費量は私の扱う支援魔法より少ないのよ?」
「耳にタコができるくらい聞いたんで分かてますよ」
「耳にタコ…?」
支援魔法は欲しいバフと効果をはっきり意識して魔法を使えば詠唱は要らないとアルラーから聞いたので実践してみる
(欲しいバフは3つ。攻撃力を上げるダメージバフ、詠唱を速くする詠唱バフ、そして魔法の飛ぶ速度を上げる速度バフ…あとは体にある魔力を変換して…)
弘人の身体が淡い赤と緑の光に包まれ、その輝きは脈を打つようにアルラーへと流れ出した
「力がみなぎってくる…!これなら頭部以外を簡単に吹き飛ばせる!」
光に反応し、洞窟から出てくるゴブリンとハイゴブリン。それらに向け詠唱を終えたアルラーが魔法を放つ
「…穿て!ロックバレット!」
放たれた魔法の威力はすさまじく、硬い岩壁にめり込みゴブリンたちの頭より下を楽々と消し飛ばした
「討伐完了ね。はじめてにしてはとても良かったわよヒロト…ヒロト?」
後から聞いた話によると、僕は魔力切れで倒れていたと聞いた。アルラーは配慮できていないとして謝ってきたけど初めて魔法使ったし大丈夫だと言っておいた
あとバフ系は延々と蛇口みたいに魔力を出すんじゃなくて容器に注ぐような感じらしい。つまり僕はバカをやらかしてたみたい。ちょっと恥ずかしい
「ヒロトの体調に何も問題がなくてよかったわ。ほんとに大丈夫なの?」
「もう何ともありません。体の元気がいつもよりあるぐらいです」
「魔力切れから回復するとそうなるのよ。魔力保有量も増えるし。学園じゃ魔力切れをわざと起こして即回復させて保有量を底上げするように行われてるわ」
「学園の闇が見えた気がする…」
「そういえばアルラーさん」
「なに?」
「僕の魔力保有量って多いんですか?少ないんですか?」
「……正直、少ないわね。私が初めて魔法を使ったときよりも少ないもの」
「……もし、1から100で表すならどのくらいです?」
「そうね……あなたは30くらいかしら。ちなみに当時の私が64だったとして、だけど」
(半分以下…僕に支援魔法士は合っていない可能性がありすぎる…)
「落胆しないでヒロト、魔力切れを起こして回復すれば増えるわよ。私もそうしてたし」
「いえ、遠慮しておきます…」
そういって解散し、僕は宿へ帰り深い眠りについた...
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