第3話

大澤くんが少しだけ体を離して私の眼鏡をゆっくり外す。



「目、つぶって?」



言われた通り目をつむると、大澤くんの息を感じた。


唇を重ねると大澤くんはいつもと違ってなかなか唇を離さない。


苦しくなって大澤くんのシャツを掴んだら口をはなした。



「力抜ける?」



色っぽくて優しい声が、また私の鼓動を早くして心臓が壊れそう。



言われた通り力を抜いたら大澤くんの舌が私の唇に触れた。



こんなことするの初めてだったけど、なんだかすごく幸せだった。


だけどしばらくしたら大澤くんは唇を離した。



「……大澤くん?」


私が名前を呼ぶと静かに眼鏡をかけてくれた。


そして小さく言う。



「これ以上したら止めらんなくなりそう」



それから私の手を握り大きな通りに出た。



「あと、本宮さん」



少し後ろを歩く私をまた、ジッと見る。



「詩織って呼んでも良い?」



その不安げな目が、なんだかちょっとかわいらしくて。



「じゃあ私も和政って呼んでも良い?」




小さく頷いて、少し下がって、私と並ぶ。



なんだか甘すぎて。



「和政、」


「……はい」



甘すぎて、どうしよう。







2010.04.14

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甘すぎて、 斗花 @touka_lalala

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