第25話

ピンポーン




ワン!ワン!ワン!






『お待ちしておりました。』





店に入れば、丁寧に教えてくれた店員さんが出迎えてくれる。





そして、ケースの中から私をじーっと見てるあの子を抱える。





『キャリーケースの中に入れますね。』





レジの近くにある台に、キャリーケースを置き




『幸せになってね』




店員さんが入れてくれる。





ケースの中にいる、弟。

こちらを見ながら吠えている。




少し心が痛い。




弟にごめんねと思いながら、視線を店員さんに向けると、店員さんはレジの方に。




『では手付金の他、残りはこちらの金額になります。』




残り、25万円と少し。




カバンから封筒を取り出し、残りを支払う。





『ありがとうございます。確認します。』





店員が確認している間、私は外を見る。

弟の方は向けない。




『丁度ですね。こちら、領収書になります。』




『ありがとうございます。』




『何かわからない事、お困りな事がございましたら、お電話でも大丈夫ですので、こちらの番号にご連絡下さい。』




『はい。ありがとうございます。』




店員さんにお辞儀をし、キャリーケースを持ち




外に出る。




キャリーケースの中はまだ覗かない。





進行方向の方に行き、手を上げてタクシーを止める。





『いらっしゃませ。どちらまで?』




住所を伝え、あの子を連れて家に帰る。

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