side 犬

第22話

ご飯を炒めている音が部屋中に響く





けいちゃーん、ご飯まだー?」





それより大きな声で俺に聞いてくる兎






「お前は黙って待てないのか!」






「だって、お腹すいたー」






分かってるから、作ってるんだっつうの






俺の育て方が悪かったのか、相当なわがままになってやがる





「敬くん、僕も」





「知ってるっつうの!今、作ってるから大人しく待ってろ!」






こっちにもわがままな烏が、一羽






はぁ、なんで俺が母親みたいな気持ちを味わわないといけねぇんだよ






さっき、出て行った我らが王様の分のご飯も作っているため量が多い






だから余計に時間がかかる






いつものように静かに窓の外の海を見つめていた王






だが、何かを見たのか顔色を一瞬で変えて、俺の静止を聞かず出て行ってしまった






あんな表情を見たことがなく、しばらく俺らは放心していた






追いかけようと思ったが追いつくわけがないと思った矢先に兎が腹が減ったとほざきやがった





心配じゃないのかと考えたが、烏の方も腹が減ったと言った






2人揃ってこう言うってことは大丈夫なのだろう






と思って、今俺は全員分のご飯を作っている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る