第4話 ポーション
「わん!」
「ダメだって! 帰りなさい!」
「ついて来ちゃったもんは仕方ないじゃん! 犬もダンジョンに入れるのは知らなかったぁー。花子の為にお前もお金を稼ぎたいのかな」
俺が助けた犬の名前は太郎、嫁は花子となった。夏美様はいいねって言ってくれたけど、秋乃ちゃんはかなり渋い顔をしていた。
新事実としては花子は既に妊娠をしていたようで三週間くらいで出産をするらしい。俺だって素人童貞なのにやることやってるなぁこの犬は。
「わん!」
誰よりも早く太郎が駆けると、うさぴょんを発見したようで首に噛み付く。犬、怖い。
「おお! やったね、太郎! おじさんよりも強いんじゃない?」
「な、夏美様、俺が太郎に負けるとでも! 見ててください!」
お腹? 胸も痛い。骨にヒビが入ってるかも。
あのウサギ野郎め。
「無理するからー。あとは油断もだけど、今日は帰ろうか?」
「だ、ダメです! お金を稼がないといけませんから」
脂汗を拭きながら、痛み止めを購入するためにネットショッピングを開く。
ん? 【異世界ショッピング】なんだこれ? ジョークグッズかな。
ポーションが5000円からある。最大のは−−0が多すぎて、一億? ワロタ。
今の俺にとっては5000円も安くはないけど、もうし本物だったら凄いよな。
「おじさん、何それ?」
「ポーションらしいです」
「ゲームでよく見るやる? へぇー、そんなのも売ってるんだ」
飲んでみると痛みが少し引いた。触るとまだ痛いけど、さっきよりは随分マシだ。
「プラシーボなのかわかりませんが、痛みは引いた気がします」
「プラモデルね! いいよね! それじゃあ、行こっか」
夏美様のお茶目なとこに俺はツッコんだりはしないのさ。
異世界ショップ。検証が必要かもしれない。
太郎は本当に俺より役に立つようで、先頭を歩いて敵がいれば察知して夏美様に伝えて、遊撃を務めて完璧な連携を展開していく。そして俺は後ろで見てるだけ。惨めだ。
いつも通りに3階から4階に降りる安全地帯でお店を展開する。
夏美様のポップを飾るためにプラスチックの額縁のようなのを購入して、汚れないように処置をした。
「別にポップなんてダメになったらまた書けばよくない?」
「ダメです!」
これは俺にとっての宝物。聖遺物と言ってもよい品物なんだ!
「犬? なんで犬のいるんだよ」
「めちゃ可愛い。触ったらダメかな?」
なんか今日は立ち止まる人が多いな。
皆んな太郎を見ている。
「あたし、またいいこと考えちゃったもんね!」
夏美様がまた画用紙に何か描き始めて工作を始める。
俺は聖遺物をしっかりと管理できるように学口を増やす。
【太郎と触れ合おう!10分500円!!おやつは100円!】
そして太郎の首には夏美様が作ったポップが別に吊り下げられて、募金箱のような箱も置かれた。
【太郎だワン!奥さんが妊娠中!!お金を稼いでるワン!!】
夏美様に首から下げるポップ。首輪をもらっただと? ぐぬぬ! 俺だって首輪はもらってないのに!
「あの、10分触れ合ってもいいですか?」
「はーい! 500円です! 過剰に触ったりはダメだからね!」
「は、はい! おお、ふかふかだー可愛い!」
「おやつもありますけど!」
「買います!」
「毎度あり!」
5粒くらいのおやつと言う名のドックフードだ。暴利だよなぁ。
さっきのお兄さん、募金箱に万札入れていったぞ。ええんかな。
「これで奥さんの病院代も稼げそうだね」
「わん!」
ん? それはお前が稼いだ金だろ? 何で俺のとこに持ってくる。
「最終的にはご主人様である、おじさんのものだよってことじゃない? 無駄遣いはしないよーに」
「勿論です! 太郎、サンキューな。ちゃんと俺が管理しておくよ」
物資の購入列よりも太郎をモフる列の方が長いんだけど。一人当たりの時間を短くした方がいいかな?
あ、利用者さんがお互いに譲り合ってる。皆んないい人達なんだな。
「狭い業界だし、一般人の人は別枠な考え方はあるけど、冒険者のベースに乗れたのであれば基本的には助け合いの精神、仲間意識は強いから」
「俺みたいになんの努力もしないで冒険者になった人間はいいんですかね」
「おじさんは努力してないわけじゃないと思うし、運やお金も実力のうちって言うしね! おじさんは夏美ちゃんと会えてよかったよね!」
「おっしゃる通りです。俺は世界一幸運でした」
「そこは素直に言われると恥ずいんだけど」
ネットショッピングで無双だ! え?異世界じゃないんですか。現代ダンジョンを添えて コンビニ @CSV1147
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