第14話

「ふぅん。その六人、やっぱ優しい奴らだね。だって小里さんに、キスの快感を教えなかったって事でしょ?キスで初めて気持ち良くなる小里さんを、俺が一番に見られるわけだ」


「ん、ぁぅ……っ」


「ふ、かぁわいい。これからもっともっと、色んな快感を教えてあげるね」




まるで獣が食らうように、私の唇はなめて吸われて、ついばまれる。


この現実を「うそだうそだ」と頭で否定しても、目の前にいるのは、やっぱり香月雅で……危険な匂いを放つ、ドがつくクズ男。



こんな男に懐柔されてなるものか。絶対に拒否しなければ――と思い直した後。唇に僅かな隙間が生まれた。


その瞬間、相手の胸を強く押して体を離す。




「はぁ、はぁ……。あなたは私の彼氏には、なれない。だって……こんなキスしか、出来ないんでしょ?」


「……言ってくれるね」




制服で口を拭う私を見て、香月雅は、口の端をゆるりと上げた。


そして――




「本気を出すと俺は止まらないし君は泣くけど、それでもいいの?」




私とキスした余韻が残る唇を、妖しく舐めるのだった。

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