第13話
「君の言うワルい男がどれほど優しい奴だったか。今から俺が、教えてあげる」
「え、」
頬に添えられた手は、私が上を向くようコントロールした。前髪が当たる距離で、私は香月雅と視線を交わしている。
まるで人形のようなキレイな肌から、整った顔立ちから……目が離せない。
「君は愛されたいんだよね?恋を経験したいんだよね?俺なら、そのどちらともを叶えてあげられる。
だから頷いて?
その瞬間、俺と小里さんは彼氏彼女だ」
(何番目の彼女よ……っ)
勝手な物言いに腹が立ち、強く睨み返す。すると香月雅は、なぜか体をブルッと震わせた。
その姿は、まるで――
「ねぇ俺と付き合う?付き合わない?……あぁ、ごめん。俺って悪い男だから。
〝待て〟は出来ないんだった」
「んッ!?」
瞬間、二人の距離はゼロになり、一ミリの隙間なく埋まる。押し当てられた唇は熱く、柔らかい。それだけじゃなく、ビックリするほど気持ちが良くて――それがまた怖い。
「んぅ~……っ」
「今まで何人の男と付き合ったの?一人、二人?」
答えようとすると、キスされる。唇が塞がれ、息をすることさえままならない。
だけど私が答えるまで、このキスは続きそうな気がしたから。なんとか隙をみて「ろく!」と言った。そう……私はちゃんと答えた。
答えた、というのに――
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