第186話

見つめあってしまえば。



これからはじまる、ふたりきりの時間にすでに、気持ちが飛んでいて。



ふわふわと、思考をさ迷わせる。



「…エロいカオ、してるー」



オレが欲しい…?



なんて、他のひとが言ったら間違いなく、陳腐に聞こえるセリフで、さえ。



伊織くんのくちびるから漏れると、カラダの奥深くが、疼く。



きっと私は今、だらしなく上気したカオをしているだろうな。



そんな自分に、嫌悪感を抱く。



なの、に…




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