第27話

どれほどの時間が経ったろう、口元のよだれをフイに感じ、僕は目覚める。脇に寝転んでいる裸の女体。半身を起こし、ワンカップ大関をすすっている。




つい今しがたまで、眠りこけていたセイか、頭がぼんやりする。口元をぬぐいながら、あたりの一帯の景色を眺める。目覚ましに、頭をかきむしる。事のすべてを反芻する。




 じわじわと過去の僕のしでかしが脳裏で明らかになるにつれ、一気に血の気が引くのを感じた。と同時に頭が痛い。僕は思わず指折る。




(ひぃ、ふう、みぃ、よ、五回も、一回のみならず五回も!!! 五回……)




指折られ露呈した現実に、言葉をなくし、僕は枕に突っ伏した。




(ほとんど面識もない女の子と、立て続いて五回もやっちまった! これじゃあ、鬼畜じゃん! まるで僕がろくでなしみたいじゃん!)




枕に頭を突っ込んだまま僕の頭をぐるぐる巡るただひとつの言葉。




(僕が悪いんじゃない、僕が悪いんじゃない、僕が悪いんじゃ……ない、不可抗力、不可抗力、これは不可抗力だ、僕が悪いんじゃない)





――でもやったのは事実――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る