第22話

彼女は指差す。こんな瞬間女は強い。男は女の言いなりだ。そうして、僕は先ほどすれ違った廊下の自販でコンドームを買う。




ラブホテルの廊下の赤い毛先の短い絨毯はなぜだかふわふわしていて。歩いていてもどこか夢心地で、ちょっとだけ雲の上のようでいて、すべてが現実味を帯びてなかった。




だけどいざ、取り口に落ちてきた冷たいコンドームの箱を手にするとこのすべて、辺りを取り巻く景色とシュチュエーションが現実であることを僕に実感させる。




部屋に戻ると、彼女はシャワーを浴びていた。




薄暗い部屋の脇に明かりが漏れる。彼女が風呂場から出たのを見計らって、僕もシャワーを浴びる。シャワーの痛熱い水圧をひっかぶっていると、次第に冷静になってくる。




だが、すぐ脇のベッドで抱ける女が待っているという現実。そんなものは僕を止めるなんのタシにもなりやしなかった。




(女体が待っている)

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