第22話
「翔馬には玖賀の血を引く人間って話して来ませんでした。あいつは、妃愛が大切で―――大切だから、妃愛を苦しめるおじさんが嫌いだったんです。」
――― そうか、そうだよな。
そうだよな。妃愛が生後半年くらいから、ずっと一緒に育ってきて…
大切に思ってきたんだから、当然。
父親の存在を疑問に思ったり
憎むこともおかしくはない。
「朝妃も、翔馬の姿を見て…このままではマズイ…って危機感を持ってました。」
「朝妃が………」
「朝妃は妃愛を玖賀の娘として、引きとりはしなくても認識はしてほしかった。できれば、一緒に暮らすことも……」
朝妃が望んでいた、妃愛との未来―――
「翔馬の存在が障害になってた部分があったんです。朝妃は、麻紀さんが翔馬の母親で、朝妃の父親の妹…翔馬が自分の従兄弟と知ってから……。」
悩んだだろうな。
自分は、妃愛と玖賀で生活したい―――
過去の事件と向き合って、一から再出発したいと思っていた、朝妃―――
妃愛には翔馬がいた。
お互い兄妹のように育ち、大切な存在になっていた二人を引き離す―――
妃愛を、支えられるのは翔馬しか居なかった。
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