第23話

「はあっ?居んのかよ。」



俺の顔を見て、

怪訝そうな顔をするのも何年も

妃響とは関係が悪いから、当然のことで。


俺は、父親とは認識されていない。



子供は8人目だが、


娘の菜緒は、亡くなっているし…


朝妃、妃響に至っては

父親と胸を張って言えるほどの

役目を果たしてきていない。



だから、妃響には毎度睨まれる。



「んだよ、居んのかよ。」



居るに決まっているだろうが。


なんて、喉まで出かけた言葉を

飲み込む。


ここで、妃響に反論したら

今以上に関係が悪くなるのが目に見えている。それだけは避けたかった。



不器用な俺の、妃響との関係。



「で?名前は?」



名前が気になっているのか

俺に聞いてきた、妃響。


少しぐらい、俺を見てくれたっていいだろ?なあ、妃響?そんなに嫌いか?

なんて、思う……俺の当時の気持ち。

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