第28話

ママとパパ、お兄ちゃんは元々家族で

再婚で元のカタチに戻っただけだけど。



わたしはちがう。



知らない。



パパもお兄ちゃんも叔父さんも叔母さんも知らない人たちで

元々家族として築きあげてきた関係性がある家庭に、新たに入るのは辛かった。

苦しかった。




でも、ママが……。



わたしのパパになった人が喜ぶなら……わたしはママの幸せを願って受け入れたんだ。




そんなの、言えない。



言えないんだよ。





馴染もうと頑張った。



ママが亡くなったあと、

ひとり遺されたわたしは、玖賀家でお世話になるしかなくて、頑張ったんだよ…




でも、辛かった。苦しかったから……



ひとりで海に来るようになった。

ママと優くんと美咲ちゃんとゆっくりオハナシがしたくて、

優くん達のお墓参りをひとりで行くようになった。




はじめてパパに伝えた時。




驚かれて、猛反対された。




「ひとりで行って何かあったらどうする!ひとりでは行かせない!」

って猛反対されたけど、航空券のチケットのとり方知っていたからわたしはひとりで行った。




ある意味の決裂―――……




そういう意味の行動だったんだけど、

帰ったわたしにパパもお兄ちゃん達も誰も怒らなかった。




不気味で怖かったんだっけ。




等々、見捨てられたかって

安心したのも覚えてる。






未だに苦しい。







だから、ひとりで行くんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る