第27話

「いつまで壁作るつもりだ?

いつまでママの連れ子で居る気?

妃愛の、考えは読めてんだよ。高校卒業して玖賀から出るのは認めねえから。」




考え読まれてないわけ、ないか……。



高校卒業まであと1年半。

1年半が過ぎたらわたしはパパに「お世話になりました。戸籍抜いてください」って言おうとしてた。




パパにもお兄ちゃん達にも申し訳なくて。



もう、これ以上ママの家族にお世話になるのは精神的にキツくて。

ひとり暮らししようと思ってた。

誰にも頼らず……生きていかないとなって……




「本心じゃねえこと思って勝手に決めつけんな。行動に移すな。

おまえは何の相談もしない、頼らない。

昨日、泣きながら飛び出して、どれだけ心配だったか知らねえだろ?」



「………なんで、心配すんのさ。

別に……ほっといて……」




" ほっといてくれてもいい " って言おうとしたけど、妃響兄のカオがあまりにも怖くて、竦む。



はじめて見た。本気で怒られることは今まで何回もあったけど、

冷たい……怒りの顔ははじめてで……




わたしが、妃響兄を怒らせてしまったんだと思ったら怖くなる。

どうして……そんなに怒るの?

なんで、心配して探すの?




いいのに。



そんなことしなくていいのに―――……どうして。




" 代わり " でしょ?わたしは。





いつも、喉奥まで出かけるけど

言ったら傷付けてしまうから言ってこなかった。






" ねえ、わたしはお姉ちゃんの代わりでしょ? "





なんて、傷付いてるパパにも叔父さん、叔母さん、お兄ちゃん達にも言えなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る