第23話

「おい、いいか、聞け、妃愛。

お兄ちゃんとの約束は絶対だからな。

言え。ひとりで泣くな。おまえはひとりじゃねえ、パパも兄貴もいる。

ひとりになろうとすんじゃねえ。わかったな?バカ妃愛。」




強引。超強引。



今までもそうだったけど、さらに上をいく強引な約束をとりつけてきた兄。

言い出したら取り下げない、頑固者。




こうでもしないと私が頼らないし、甘えないのもお兄ちゃん達は知っている。





「返事。妃愛、返事は?」




「はい。」





頷くしかないのも、わたしと兄の関係で。




長男、次男、三男には逆らえない。



妊娠中期くらいからどうやら知っていたようで、わたしとママを心配してたらしく……

今となってはパパよりもパパみたいで、うるさいお兄ちゃん達。




大切にしてくれてるのはわかる。





「わかったか、じゃあ出掛けよう。

お兄ちゃんがとっておきの朝日が綺麗な海連れてってやる。」



「海……いや、海は……いい……」

いい、ひとりで行くって言おうとしたら睨まれる、わたし。


心の準備ができてない。


海は心の拠り所で、わたしの泣ける場所だから……そこにお兄ちゃんと行くのは、嫌だ。

知られたくないし、甘えたくも、頼りたくもない。




" 頼れ " って言われても、分からない。







お兄ちゃん達に何を頼ればいいの?

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