第2話

桜都おと、今日もいないね。」


「うん、外へ遊びに行くって、桜都おとがいないと寂しいよね。笑菜もお外いく?」


「…ううん、」


「いいんだよ?僕のことは気にしなくて。」



少し困ったように目尻を下げて笑う詩楽うたの傍に擦り寄り、読んでくれる本に耳を傾けているうちに眠りにつく。


これがいつもの風景となっていった。




穏やかで優しい詩楽と対照的な桜都。

元気で活発な桜都が家にいる事は大きくなるにつれて次第に少なくなり、私と詩楽から距離を置いているようにも見えた。


それが酷く寂しかったのに…



桜都に伸ばそうとした手はいつだって届かなかったから。

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