第23話

「……………ッッ………ッッ…………

おとうさんッッ……おとうさんッッ…………」



夢の続きを見ようとしたら、目が覚める。


手に温かみを感じて両手を見たら

右手に優音兄、左手にひいにいが握ってくれている。握ってくれていたことが嬉しくて、涙が出てくる。



「ん?………ねてた。ごめん。

莉音、大丈夫?どうした?……おとうさん……

そうだよな………夢だったらいいのにな………。」



優しい、優音兄の声が更に涙を誘う。


でも、なんか―――……違和感……。

優音兄の手から、熱が伝わってくる。



「優音兄……熱い………おねつあるの?」


手の熱さは、熱だと思った。

熱……?何なんだろう…って思っていたら、ひいにいが病室の電気をつけてくれた。



「ほらみろ。無茶するからだよ。」


「ははっ、すいませんっ。」


「………僕を庇って……?ごめん、なさい……。」


「んーん。莉音をやっと守れた。

今までは、妃響が莉音を守ってきてくれたけど、俺も莉音守るからな?

俺も、お兄ちゃんだからさ。」


「ッッ………ッッ…………。」



ひいにい以外の、お兄ちゃん……


優しく見つめてくれているのが、嬉しかった。

ずっと怖いと思ってきた、お兄ちゃんの存在。



優音兄は、怖くない―――………。



「りおん、おいでっ。」


「ッッ………うんっ、ゆうとにいっ………。」



腕を広げてくれた、優音兄の胸に飛び込む。



これからが、不安でいっぱい。


どうしたらいいのか、分からない……。

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