第30話

そちらを見ないようにしながらも、そこへと近づくと、今日もコンビニの前にいる男女数名がわたしに視線を注いだのが何となくわかった。




気まずいし、恥ずかしいし、この上なく最悪な気分。




それよりもジンジンと膝が痛んでいるから、踵を返すことも出来ず。




「ねえ、あれ…」


「え、ヤバくない?超血出てんじゃん」


「まって、あたし血とか無理。見れない」


「うわ…マジ痛そうじゃね?」


「てかびしょ濡れ…」




ヒソヒソと小声で話しているつもりなのだろうけど、普通に聞こえてる。




ちょっと揶揄う様な感じがして、痛さに加えて誰にか分からない苛立ちと数名の男女に見られている恥ずかしさが感情を掻き立てて、こんな小さな事で涙が零れそうになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る