第31話

帰る途中、ガクは一言も話さなかった。


私達は手を繋ぎ無言のまま帰ってきた。



アパートの近くの公園に人集りが見える。


それでも、ガクは気にせず歩いた。



「おいっ!ガク!」


人集りの中からガクを呼ぶ声。



ガクは足を止めた。


1人が近づいて来る。



「ノン、下がってろ」


そう言われて後退りした。



暗くてわからなかったけど、近づいて来て見覚えがある事に気づいた。


この人…私達2人を純さんの居る埠頭まで送ってくれたスポーツカーに乗っていた人だ。



「何だ?こんな所まで」


ガクは男に近づく。



「そろそろアイツ…純も死ぬ頃だと思ってな」


"純"って言った。


この人、前は"純さん"って呼んでたはず!



「カズキ、まさかテメェ…裏切ったのか?


純をヤッたのはお前らか?」



男はカズキって名前らしい。

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