第30話

家の前に誰か立っている…。


ガクだと離れていてもわかる。



私に気付いたガクは、こちらに歩いて来た。


「ノン!何で電話の電源切ってんだ?


喧嘩しても、俺の事で気に食わない事があっても電源だけは切るな!


どれだけ心配したと思ってるんだ⁉︎」



凄く怒っているのは、凄く心配してくれたから。



「ごめんなさい…」


私は俯く。



「ケンが連絡くれた。


ノンが落ち込んでたって。


だから、念の為にこっちに来てみたんだ。


部屋に帰って来ないから心配したんだぞ?」


優しく頭を撫でてくれる。



「ごめんなさい…」



「謝ってばかりじゃ無くて、言いたい事があるなら言えよ」



「……」


何も言葉にできない。



「まずは一緒に帰るのか?


帰らないのか?」


こんな私にガクは根気よく付き合ってくれる。



「帰る…ガクと帰る」



そう答えるとガクは私の手を握った。


手を繋いで帰る。

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