第28話

コンコン!


ガチャ!


「和田さん、警察の方がお話を聞きたいそうですけどどうしますか?」


看護師さんが入ってくる。



「ガク、もう帰ろう?」


私は早く病室を出たかった。



「そうだな、純また来る。


大人しく寝てろよ?」


私達は病室を出ようとした。



「おい、ガク。


ちゃんと考えとけよ!」


純さんは最後までそう言っていた。



病院の外に出るとガクのバイクが停まっている。



「ごめん、俺バイクだ。


タクシー呼んでやるから、タクシーで帰れよ」


ガクはそう言ったけど、私はガクの側に居たかった。



「私もバイクで帰る…後ろに乗せてよ」



「駄目だって。


ノンは乗せられないのわかってるだろ?


タクシーで帰れ」


ガクがダメだって言うのはわかってた。


でも我儘が言いたい。



「やだ、乗って帰る!


同じ場所に帰るんだもん、良いでしょ?」



私はバイクの後ろに乗ろうとした。



「いい加減にしろよ。


バイクに乗せないのは親父さんとの約束だ。


ノンはタクシーに乗れ」



そう言ってガクはタクシーを呼んだ。


くだらない喧嘩…。


ガクが遠くに行っちゃう気がした。

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