第30話

「こういう田舎になるとラブホテルは何軒かあるよ、行くかい?」


と運転手さん。


「1番近いとこで」


田舎にはラブホテルあるんだ…。


15分くらい走るとコテージみたいな三角屋根の小さな建物が並ぶラブホテルに着いた。


ガク君が空室があるか確認してくれてタクシーを降りた。


ドキドキする…。


建物には駐車場が1軒1軒あって、そこから中に誰にも会わずに入れた。


部屋には大きな丸いベッドが1つ。


「あーっ!これで寝れる!」


ガク君はベッドに両手を広げて飛び込んだ。


私はその姿を直立不動で見ている。


えっと…私、どうしたら良いの⁉︎


困って言葉を失う私を見てガク君は起き上がる。


「ノン、俺は女の弱ってるとこに漬け込んだりしないって言ったろ?


何もしないから。


ノンの事は大事にしたいと思ってるからさ」


大事に…思ってくれてるのは伝わる。

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