第34話

その後ろの席で座ってた男子にはガンッと密かに(?)その机を蹴って「下がってよ」と圧たっぷりに言ってやったもんだから、後ろの男子も慌てて立って後ろに移動し始める。


そーしてきちんと万亀の場所が確保され──その列の最後の一人も無事に後ろに下がって席に着けてから──万亀は涼やかに爽やかに私ににっこり笑いかける。


「これからよろしく、瑠衣さん」


「よろしくしてやる事はねーぞ、瑠衣」


間髪入れず、こっちをわざわざ振り返りながら言ったのはもちろん冬馬だ。


「おっ!なんだなんだ?

冬馬、強力なライバル出現じゃね?」


「尾瀬くんと万亀くんがライバルになれる訳ないじゃん。

っていうかなんで有馬さんなの〜?万亀くん」


ざわざわと辺りが色んな声でざわめき出す。


と、加山先生が「こらこら、もうホームルーム始めるぞ」と辺りのざわめきに終止符を打った。


冬馬がチッと一つ舌打ちして前を向く。


たぶん、それだからだろう。


万亀が私にちょこっとだけ目線でにこっと笑ってみせた。


その顔は ええ、確かにイケメンでしょうとも。


だけど……。


なんだろう、なんだか面倒な予感しかしない。


そしてその私の予感は思いっきりしっかりと、的中したのだった──。

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