第34話
その後ろの席で座ってた男子にはガンッと密かに(?)その机を蹴って「下がってよ」と圧たっぷりに言ってやったもんだから、後ろの男子も慌てて立って後ろに移動し始める。
そーしてきちんと万亀の場所が確保され──その列の最後の一人も無事に後ろに下がって席に着けてから──万亀は涼やかに爽やかに私ににっこり笑いかける。
「これからよろしく、瑠衣さん」
「よろしくしてやる事はねーぞ、瑠衣」
間髪入れず、こっちをわざわざ振り返りながら言ったのはもちろん冬馬だ。
「おっ!なんだなんだ?
冬馬、強力なライバル出現じゃね?」
「尾瀬くんと万亀くんがライバルになれる訳ないじゃん。
っていうかなんで有馬さんなの〜?万亀くん」
ざわざわと辺りが色んな声でざわめき出す。
と、加山先生が「こらこら、もうホームルーム始めるぞ」と辺りのざわめきに終止符を打った。
冬馬がチッと一つ舌打ちして前を向く。
たぶん、それだからだろう。
万亀が私にちょこっとだけ目線でにこっと笑ってみせた。
その顔は ええ、確かにイケメンでしょうとも。
だけど……。
なんだろう、なんだか面倒な予感しかしない。
そしてその私の予感は思いっきりしっかりと、的中したのだった──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます