第28話

「おう、トーマ!

おはよー……」


クラスメートの一人がいつも通りに言いかけて……そのままビクッとした様に(そんな風に見えた)尻すぼみに口を閉ざしてそのまま冬馬と私の横を通り過ぎていく。


その横顔が『え?何で?』みたいな感じだったんで、私は思わずこっそりと「ちょっと冬馬?」と小さく前へ向かって──冬馬の背に向けて問いかける。


と、冬馬がグリッとこっちを振り向いた。


その顔が、超不機嫌だ。


思わずその顔にぽかんとする中、冬馬は言う。


「さっきのナキリってやつはもういいのかよ?」


問いかけてくる。


……あー……。


あんたナキリの事で朝っぱらからそんなに不機嫌って訳?


そういえばさっきも何か気に食わないって感じだったもんね。


でもナキリは何にも悪い事してないと思うんだけど。


むしろ普段のバスケバカの冬馬なら、ナキリのくれたあのパスを見て


『お前バスケすんのか?だったらうちの部に入れよ』


くらいの勧誘はする感じだと思うんだけどな。


まぁ、そりゃタイプが合う・合わないっていうのは確かにあると思うけど……。

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