第27話
◆◆◆◆◆
ナキリを職員室に送り届けて別れる事十数分。
私はようやくいつもの時間、いつもの教室で自分の席について座っていた。
机の横にはきちんと私のカバンがきれいにかけられている。
あのイケメン執事さん──猪熊さん?──が、ちゃんと送り届けてくれたんだろう。
それにしても……。
今日は朝から、特別な一日だったなぁ……。
生まれてこの方初めてリムジンなんてものに乗ったし、(私を出迎えた訳じゃもちろんないけど)学校に着けば校長から先生達まで勢揃いでのお出迎えを受けて。
こんな事一生に一度あるかないかだし、もうきっとこれから先 一生涯こんな事は起こったりしないでしょうけど。
案外楽しかった、かも。
ナキリも結構いいやつだしね。
なんて思いながらふふっと一人静かに微笑み ちょっと目を閉じて今日の思い出に浸っている──と。
ガンッと大きな音が私の前の席で響いて──私は慌てて目を開けた。
ギィッと乱暴に前の席が引かれて、そこにドッカとある一人の男が座る。
──冬馬だった。
冬馬は私とおんなじクラスな上に席も私の一つ前なのよね。
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