二章ギルドの仕事

第36話

『なー、おい。

こんなでっけぇ鉄のかたまり、本当に空飛ぶのかよ?』


俺が言う。


声変わりもしてない昔の俺の声に、ヘン、と誰かが鼻で笑って見せた。


『ったりめぇだ。

いいか?こいつにはなぁ、お前なんかにゃ分からねぇ色ーんな機械が詰まってんだよ。

科学の力で空を飛ぶんだ。

見てな、そのうち俺がついーっと世界一周して戻ってきたら、おめぇもこの飛行船に乗せてやるよ』


『ふ~んだ、なんだよ、えらそーに。

こんな鉄のかたまりで空飛んで世界一周なんか、出来るもんか』


『ったく、夢のねぇガキだなぁ。

まあいいさ。そん時がくりゃ、俺の言ったことが本当になったかどうか分かるだろうさ。

だがその前にちいとやることが出来ちまってな。

飛行船で出発すんのはそのあとだ。

早けりゃ明後日には飛ぶから、せいぜい首を長~く伸ばして待ってな』

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