第40話

どうして、こうなるんだ!!


冬樹は、教室の自分の席に座って固まっていた。

前では、担任が入学式の説明と今後の流れなどを説明している。


有り得ない。

まさか、雅耶とクラスまで同じだなんて…。


校庭で話し掛けられたのに、そのまま逃げてしまった気まずさは勿論だが、今後のことを考えると更に気が重くなる冬樹だった。

雅耶も朝のことを気にしているのか、さっきから何度かチラチラとこちらを振り返って見ている。


(何にしてもやりにくい…)


その一言に尽きる冬樹だった。




(もしかして…俺、避けられてたりする…?)


HRホームルーム終了後、まだ多くの生徒達が教室に残る中、冬樹の席を振り返った雅耶は溜息をついて肩を落とした。

既に鞄もない。もう帰ったのだろう。


雅耶は、今朝のことを謝ろうと冬樹に話しかける機会をずっと窺っていた。

だが、式典の為講堂に移動する際も、教室に戻ってHRが始まるまでの僅かな時間でさえも、冬樹はどこかに行っていて、結局一言も話すことは叶わなかったのだ。

もしかしたら、たまたまだったのかも知れない、とも思う。


(でも、久し振りに再会出来て嬉しかったのにな…)


流石に落胆の色を隠せない雅耶。


(でも、明日からもずっと学校で会えるんだし、まぁいっか…)


そう思うと、徐々に気分が浮上してきた。



「おー雅耶、帰るかー?」


長瀬が手に持った鞄を肩に担いで、雅耶の席までやってくる。


「あ、ごめん長瀬。俺、これから寄りたいとこあるんだ。今日は先に帰ってくれていいよ」


ゴメンと、片手を上げて謝るポーズをすると、


「そーなの?オッケー。んじゃ、また明日なー♪」


長瀬はあっさりと、にこやかに手を振って帰って行った。

その友人が教室を出るまで見送って。


「さて…と」


雅耶も自分の鞄を手に取ると、


姉御アネゴに会いに行きますかっ」


そう言って、教室を後にした。


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