第29話

真っ白な世界に、花びらが舞い現れ、色とりどりの花の絨毯が広がった。


――そして。


はじめ壁だと思っていたものには色がついていた。


『…クラウド。

やる事はもう…終わったの?』


明るめの茶、赤、ピンク色を持つ者。


それは壁などではない。


(エアリス…?)


背中合わせに立つ形となっていたクラウドとエアリス。


クラウドが意外そうに彼女の名前を呼ぶと、クスリと笑いながら、空に舞う花びらを見た。


『お花、いっぱい咲いたんだよ』


『…ああ』


真っ白な世界は、見覚えのある場所に色と形を付けていった。


オレが上から落ちてきた事で、屋根に穴が開いて花に直接日が差し込む、あの教会に。


その時よりも花はたくさん咲いていた。


『…やる事は片付けた。

しばらく、こっちにいられるよ』


答えはない。


けれど、どちらも振り向くことはなかった。


うつむくエアリス。


『そっか…終わったんだ』

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