第32話

「でも・・・何だ?」



「ぅん…本命の彼女には必ず呼び捨てにさせるって…それと、自宅の合い鍵を渡すって…。私はどちらにも当てはまらないから…。彼女は・・・その両方とも貰ったって。『私が本命だ』そう言われたの。…それで、何度も疾風さんに聞こうとしたんだけど・・・」



何度も『話しがある』と言ったのはちゃんと確かめる為だったんだ



「南?覚えてないのか?初めて食事に行った時、俺が『疾風』と呼べ。そう言った時…『自分に自信が付いたら…』そう言ったよな?それから、ここの鍵も渡しただろ?」



「えっ?」



「覚えてないのか?カード渡しただろ?」



「…あっ!!」



鞄を漁り財布を出す



「もしかして、これ?」



「そうだ。持ってるだろ?」



「・・・これ、クレジットカードだと思ってた・・・。『好きな時に使え』って」



「あぁ、いつでも来ればいいと思って渡した。一度も使わないから変だとは思った。だが、呼び捨てもしないし、まだ本気で俺の事、好きじゃないのかと…。いつまでも、敬語のままだし、俺が何をしてもヤキモチひとつ妬かない。それで俺は・・・南の気を引きたくて…最低な事した」



そうだ。俺は耐えられなくなってたんだ

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