第31話

「じゃあ…彼女は、特別だった?」



「特別と言えばそうだが…」



特別・・・何の感情もなく唯、後腐れのない関係…



「が、なに?」



「南に嘘は付きたくないから答える。確かに水谷は特別だった。・・・何の感情もなく唯、ヤルだけ。何の後腐れもなかったから何度か関係はあった。他の女より・・・都合が良かった。金だけの関係だったから」



「えっ?お金?」



「・・・あぁ。アイツは大学の頃から…まぁ、今もそういう仕事をしてる」



「・・・」



「最低だが、その事を俺は利用してた」



「普段、彼女の事…何て呼んでる?」



「水谷…そう呼んでるが?」



「…彼女は疾風さんの事、何て呼んでる?」



「さぁ…気にした事ないが、名字だと思う。名前じゃないのは確かだ…それが何かあるのか?」



「・・・」



「南?・・・何でも話してくれ」



「…あのね?彼女に呼びだされた時、疾風さんの事、名前で呼ぶ人は特別な人って聞いたの。私が『疾風さん』って呼んでるって言った時に彼女が教えてくれたの。でも・・・」



水谷が南に言った事は確かにその通りだ

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