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第27話

俺は産まれて初めて告白をした



こんなにも緊張した事も、切なくなった事もない



心臓がドキドキして、喉が渇く



静まり返った部屋に響くのは時計の針の音と俺の鼓動



虚勢を張る事も、威圧的になる事も出来ない



ただ、目を逸らさずにいる事で精一杯だ



そんな静寂の中・・・



「ぅそ・・・信じない!もう、信じられない!」



俺から目を逸らし嫌悪感ともとれる拒絶



考えるまでもない。当たり前だ



今までの俺は南に対して、傲慢で誠実さの欠片すらなかった



そんな俺が信じて貰う事など出来る筈もない



だが・・・



「今すぐじゃなくてもいい。南に信じて貰える様に努力する。これから、俺の全てで南を愛する。もう二度と泣かせたりしない。不安にもさせない。南が嫌だと感じる事がない様に。俺にチャンスをくれ…頼む」



情けなくてもいい、カッコ悪くても。南さえ傍に居てくれればそれだけでいい



「これからの俺を見て欲しい。今までの事をなかった事になんてしない。南が苦しんだ分、俺にぶつけてくれればいい。何を言ったっていい。殴ったって構わない。ただ、傍で…俺の傍で見ていて欲しい。俺がどれだけ南を好きか、どれ程…愛してるか」

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