【WEB版】ゴミ屋敷令嬢ですが、追放王子を拾ったら懐かれています!
AkaneYuzuki
第1話
剣と魔法の国、グラディウス王国。
王ガイウスは筋骨隆々とした最強の剣士。そして国民も、たくましい騎士や冒険者が溢れるおおらかで陽気な国だ。
その王城では今宵、王子たちの結婚相手を選ぶためともささやかれるような、大規模な舞踏会が催されていた。
着飾った令嬢たちはみな、壇上に座る美しい四人の王子たちにくぎ付けだ。あるいは、参加している貴族令息たちと歓談し、自分を売り込もうとしている。
そんな中、人の群れから離れて、軽食コーナーにかじりつく令嬢が一人。
金髪碧眼の彼女は、歓談も王子たちへのアピールも興味がないと言った様子。婚期を気にする両親によって無理やりこの場に放り込まれた彼女は、テーブルに並んだ料理を次々ほおばることに夢中だった。
だから彼女は気づくのが遅れ、対処ができなかった。
突如立ち上がった第四王子ルシファーが、「何が筋肉は正義だ! 魔法のほうがすごいに決まっている! 思い知れ!」と叫び、その手から次々と魔法を放出したことに。
響き渡る悲鳴に、逃げ惑う足音。魔法を含んだ青い閃光が大広間を飛び交う。
令嬢は各々対魔法の結界を張り巡らすか、歓談していた貴族令息が盾となり、守られている。
彼女は、ただ、不運だったのだ。
一筋の閃光が、きょとんとしてサラダをほおばる彼女の胸を貫く。
「ううっ……!?」
皿がしなやかな右手から滑り落ち、けたたましい音を立てて割れる。
ゆっくりと床に膝をつく令嬢。
なおも喚き散らすルシファー王子は兄たちと王に羽交い絞めにされ、広間から連れ出される。
騒然とする舞踏会会場。もはや会の続行は不能と思われた。
床に横たわる令嬢のもとには次々と人が集まる。彼女は急いで治療院に搬送された。
そして、意識を取り戻された彼女に一つの事実が告げられた。それは、彼女が食らってしまったのは呪いの一種「何でも拾ってきてしまう」魔法だったこと。
それが何を意味するのか、この時点では誰にも予想がつかなかった。とにかく命に関わるものでなくてよかったと、駆け付けた両親は安堵した。
数年後――
令嬢は巷で「ゴミ屋敷令嬢」と呼ばれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます