第9話 菜々美の日常

「菜々、ご飯どこに行く?」

「この間スマホで見つけたお店に行きたい!」

「オッケ!じゃあ車持ってくるから、ちょっと待ってて。」


大学の授業が終わって、同級生の陽平と校舎を出る。

付き合い始めて半年になる。

彼は顔良し、スタイル良し、薬剤師をめざしてて頭も良いし、何より優しい。


「なんかね、パスタがすごく美味しそうだったの。」

「へぇ~そうなんだ。」


お洒落なお店の駐車場に車を止めて、あたしと陽平は店内に入った。

テラス側の席を案内されて、あたし達は座った。


「なんにしよーかなー。」

「俺は、これにする。エリンギとしめじのクリームパスタと、アイスティーのセット。」

「決めるのはやっ。う〜ん。あたしは迷うなぁ。」

「ゆっくり決めていいよ。」


優しい陽平に見つめられて、少し照れながら、あたしはパスタとジェラートのセットを頼んだ。

しばらくすると、アツアツのパスタが運ばれて来た。

ん〜。美味しそっっ。


「いただきます!


フー、フーと息を吹きかけ、パクリ。


「ん~~美味しいっ。」


あたしが頼んだのはアスパラとベーコンのパスタ。

塩、コショウで味付けされたシンプルなパスタだけど、めっちゃ美味しい。


「俺のも美味い。来て正解だったな。」

「うん。」


あたし達はパスタを味わい、お腹いっぱい。

満足で店を出て、陽平の車に乗った。


「どっかドライブする?」


シートベルトをして陽平が聞く。


「そうだね。どっか寄ろうか。明日は学校休みだし。」

「ん〜。ホテル行く?」


ドキッ


「うん。行こっか。」


陽平は車をラブホに向かわせた。

ホテルの部屋の前に着くと、たまたま隣の部屋から50歳くらいの中年のカップルが出てきた。


「麗華、ちゃんと留守番してるかしら。」


そんな会話が聞こえてきた。

夫婦?

不倫?

夫婦だったら、わざわざホテルに来るのかな。

お互いフリーなのかな。

てか、あれくらいの年齢になっても、まだヤルんだな。

あたしは1人でイロイロ考えた。


「今の人達、不倫かな。」


陽平も興味津々に聞いてきた。

やっぱり思うよね。余計なお世話だけど。


「あ・・・ん・・・」

「あ、菜々、もういきそうだ。」


陽平とのエッチは気持ちいい。

ていっても、あたしは陽平しか知らないんだけど。

服を来て、少しゆっくりする。

部屋のテレビを付けるとニュースがやっていた。


「小学校のイジメだって。酷いね。」

「酷い事するよな。こういう、やったヤツの家庭ってどんな家庭なんだろ。」

「どうなのかねー?普通の家庭の子でも、イジメたりするもしれんしね。イジメの度合いにもよるんだろうけど。」

「大人でも陰険なヤツいるしな。でもさ、親はちゃんと知ってんのかね。」

「どうかね〜」


あたし達はニュースのイジメ問題について、イロイロ語った。

あたしも、小4の時にイジメられて学校に行けなくなった事があった。

理由はわかんない。

急にクラスの女子から無視されて、クラスで孤立しそうになった。

でも、その時、唯一、幼馴染みの雪ちゃんだけは、あたしを無視しなかった。

雪ちゃんは先生とママに言ってくれて、ママは怒って学校に文句を言いに言ってくれた。

それからイジメはなくなって、イジメてた子は、あたしに謝って、その後は普通に過ごした。

あの時、何がイジメた子のしゃくにさわったのかわからない・・・・

けど、あの時、ずっと一緒にいてくれた雪ちゃんと、学校に言ってくれたママには、ホントに感謝してる。

このニュースのイジメられた子も、誰か側に居てくれてるかな。味方になってくるママがいてくれるかな。

そんな事が気になった。


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